官僚を含め政治家はなぜ間違った政治、経済理論なのか

小浜逸郎の提言(一部抜粋)

景気悪化をやっと認めた思惑

少しこの問題を考えてみましょう。
ごく少数の例外を除いて、政治家たちは、なぜこんなにもマクロ経済を知らないのか。
あるいは知ろうとしないのか。
日本の政治を動かそうという意思を持った人たちが集まっているはずなのに、そのために必要不可欠であるマクロ経済について、最低限の知見すら持ち合わせていないのはなぜなのか。
以下、箇条書きにして、その理由を挙げてみます。
(1)政治家もわれわれふつうの生活者と同じ知恵と関心しか持っていない、凡人である。
(2)民主主義的な手続きによって選ばれた現在の政治家は、人格イメージや演説のうまさや現職の強みや背後の組織力によって選ばれているので、別段、経済の知識など必要としていない。
(3)いったん選ばれてからも、組織内の分掌に割り当てられ、そこに集中することを余儀なくさせられるため、広く公共的な問題を見渡そうとする視野を失ってしまう。
この(3)の点ですが、現代の政治組織は、官僚組織や企業と同じように、分業化とトップダウンの構造を持ち、党内の自由な議論の空間が存在していないように思います。
政治組織こそ、他の組織と異なり、公共的な問題についての自由な討論の場が持続的に確保されなくてはなりません。
それなのに、細分化されたアドホックな事務的仕事に追われ、いつの間にか、官僚の提出する「資料」のままに動く習慣を身につけてしまいます。
しかし、国会議員は、常に国民全体の安全と幸福について考えるべき使命を担っており、そのためにこそ高い給料と秘書を与えられ、国政調査権も持っているのですから、この怠惰な習慣に眠り込んではなりません。
これらの特権について「身を切る改革」などというバカなことが言われましたが、「身を切る」のではなく、せっかくの特権をフルに活用すべきなのです。
政治家は、消費増税のような国民すべてにかかわる重要な問題について、なぜ増税が必要とされてきたのか、誰がそれを声高に主張しているのか、なぜそんなことを主張し続けるのか、自分の頭で、また反対している人たちの意見によく耳を傾けて、勉強しなくてはならないはずです。
しかし、彼らのほとんどがそれをやっていないのです。
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2018年6月28日 - From小浜逸郎@評論家/国士舘大学客員教授首都圏ではまだ梅雨が明けていないのに、真夏日が続いていますね。外を歩いていると、照り付ける太陽で体はほてり、頭はぼーっとなりそうです。皆さんも熱中症にはぜひお気を付けください